クリエイティブライティング講座を受講された方々の卒業作品です。
受講されたほとんどの方は物語を書くのは初めてですが、それぞれの個性が表現された文章に仕上がっていてます。
縁のあちこちににこげのついたガラス板の向こうで、 しゃっしゃっ、しゃっ...
いつものように、サトル君が木の枝で道に丸をいくつか描き始めた。 すぐ側...
うちの家の裏手にある、崩れ落ちそうな文化住宅が、実は「うちゅうじん」の巣で...
「ぎゃーっぎゃっぎゃ!」 「キャー!」 「みんな、変身だ!」 5人の戦...
扉の隙間から漏れる光に気づくと、一瞬、手が止まった。 「こんな時間に?」
コンクリートの道路、鉄骨のマンション、アドバルーンが毎日上がるショ...
一番良い時代はいつだったか、そう自問したとき決まって浮かぶ風景は1970年...
みっちゃんはしゃがんで地面の石を見た。 眉間にしわを寄せて片目をつ...
「あ~、早く来ないかな~」 お母さんのお迎えが待ち遠しい。
わたしたちが降りるやいなや、バスはまるで逃げ出すかのようにそそくさと発車した。
義父の部屋の前に立つと、煙草のにおいがする。新緑の透き通った空気にまじった...
「ジャマでしょ!」 不機嫌さをいきなり爆発させた声に、一瞬で体が固ま...
共働きの父母にとってたっぷり睡眠がとれる一番大好きな日曜日の朝、団地の我が...
「サチ、来週の休みに、僕の家に行かない?」 「話は帰ってからにしてくれ...
ギュッと目をつぶった。 ピューッと冷たい風が吹いて、砂ぼこりが飛んでき...
「磨知ちゃん、『前世療法』って知ってる?」 久東磨知(くどうまち) ...
一番最初に住んだのは、団地だった。 上の階の、201号室と202号室には、...
「コケコッコー」 大きな鳴き声が頭に響きわたり、眠い目をこすりながら眩し...
家族がいたその場所は鮮やかだった。 両親と小学生の子どもたち。久しぶり...
ピンポーン、ピンポーン。 ポンキッキをちょうど見終わった私はテレビを消し...
夕暮れ時、私は家の2階の窓から、はす向かいにある猫屋敷を眺めていた。 猫...
……水洗トイレの水を流した瞬間、その水の行方は一方通行であることに気づいて...
智子はそろりそろりと木に近づき、ぱっと蝉を掴んだ。ジジジジジジジと鳴きなが...