“流域”がそのまま残る貴重な場所、小網代の森の整備活動を行いました

フェリシモ森活部(ONE COIN ACT for the FOREST)の活動の一環として、神奈川県の三浦半島南端部に広がる「小網代の森」でNPO法人小網代野外活動調整会議さんと一緒に森づくりの整備活動を行いました。20名ほどの参加者の皆さんと共に過ごした当日の様子をレポートします。

 

NPO法人小網代野外活動調整会議
2005年に首都圏唯一の自然状態の流域生態系「小網代の自然」の管理を行うために設立。 現在は神奈川県、三浦市、公益財団法人かながわトラストみどり財団とともに、豊かな自然環境の維持管理をされています。

神奈川県三浦市にある約70haの緑地『小網代の森』は、森の中央を流れる浦の川(うらのかわ)の源流が海(相模湾)まで人工物で遮られず残されている貴重な集水域です。関東地方で唯一の自然環境と言われ、次の世代に引き継いでいくべき貴重な森として、神奈川県、三浦市、NPO法人小網代野外活動調整会議、かながわトラストみどり財団による4者連携によって保全活動が行われています

フェリシモ森活部が小網代の森の保全活動の支援を始めて、今回が初めてのイベント。集まった20名ほどの森活サポーターのみなさんと2000種類以上の動植物が住む生物多様性あふれる森を歩き、自然環境保全活動の一環となる作業をNPO法人小網代野外活動調整会議のみなさんとともに行いました。

 

アカテガニが暮らす場所を整備しよう

この日の活動内容は、小網代の森の住人の一人『アカテガニ』が子育てしやすい環境を整えること。そのために、相模湾に面する『大蔵沢』に生い茂るセイタカアワダチソウを抜き、そこに元々小網代の森に生えていたハマカンゾウという多年草の苗を植えます。

今回整備する場所

小網代の森で暮らすアカテガニ

小網代の森を彩るハマカンゾウ(NPO法人 小網代野外活動調整会議 FACEBOOKより)。2011年の東日本大震災で約3mの津波がこの森に押し寄せ、この森のハマカンゾウは28株にまで減ってしまったそうです。しかし、この森の保全活動の支援企業の協力により6年で1,000株にまで回復し、今では5,000〜6,000株のハマカンゾウが森を彩っています。

 

集合場所の引橋入口にサポーターのみなさんが集まったところで、NPO法人小網代野外活動調整会議の石川さんから小網代の森とこの日の作業内容の説明を受けます。

写真左が石川さん。今日一日、よろしくお願いします!

 

一通り説明を聞き終えて、一行はいよいよ小網代の森へ!

目的地の大蔵沢は小網代の森の一番海側。そこまで周囲の豊かな自然を楽しみながら移動します。所々で石川さんからの解説を聞きながら、小網代の森の奥へ奥へ。

小一時間ほど歩いたところで大蔵沢に到着。6月上旬ながら夏の気配を感じさせる気温のため、まずは小休憩。

休憩をとって元気がみなぎってきたところで、セイタカアワダチソウの除去作業を開始します。

セイタカアワダチソウの抜き方を教えてもらいました。

教えてもらったように、根を残さないようにセイタカアワダチソウを抜いていきます。

一人では難しいことも、みんなで力を合わせるとできる!

 

セイタカアワダチソウは、根っこを残してしまうと数が増えてしまうたくましい性質を持っているのだとか。しっかり根こそぎ抜いていきます。

みんなで力を合わせると石川さんも驚きのスピードで除去作業は完了。一人ひとりの小さな力が集まって大きな力になる。これぞ森活部の真髄ですね!

次に、みんなでハマカンゾウを植えていきます。

泥団子の上に根っこを載せた状態で植えていきます。

みんなで横一列になって植えていきます。

土を掘り返すとカニさんが!

 

黙々と取り組んだ除去作業とは打って変わって、おしゃべりしながらの移植作業。みんなで一列になって、70株のハマカンゾウを大蔵沢に植えました。

来年には美しい花を咲かせて、大蔵沢に訪れる人を出迎えてくれることでしょう。

大蔵沢に行ったらこの看板を探してくださいね。

 

休憩を挟んで、次は小網代の森の水辺に棲む生き物たちの観察会。

小網代野外活動調整会議のみなさんが捕まえてきてくれた、多種多様な魚、海老や昆虫の特徴や見分け方を学びました。

小網代の森の水の生き物たちを捕まえてくれた、ボランティアスタッフのみなさん。ありがとうございました!

私たちがセイタカアワダチソウを抜き、ハマカンゾウを植える間に20種類以上の生き物が見つかりました。

干潟にたくさんいたチゴガニ。カニダンス中です。

 

観察会が終わる頃には、夕暮れの気配が。次のお楽しみはホタル鑑賞ですが、ホタルたちが飛び始める時間になるまでに小網代の森と調整会議の歴史やアカテガニの紙芝居、蛍のお話を聞きました。

紙芝居に夢中になる子供たち。

 

小網代の森と調整会議の歴史についてお話してくれたのは、NPO法人 小網代野外活動調整会議の代表 岸由二先生。

 

小網代の森と、NPO法人 小網代野外活動調整会議の歩み

お話をしてくださった、慶應義塾大学の岸由二 名誉教授

岸先生は慶應義塾大学の名誉教授で、長年に渡り、進化生物学、生態学、流域思考の都市再生論を研究されてきました。

1985年に小網代の森の存在を知り、川の源流が海へと至るまでの「流域*」が東京都心からほど近い場所にそのまま残されていることに驚いたそうです(こんな場所は、首都圏ではただ一つ、もしかしたら世界で唯一かもしれないのだとか)。それと同時に、当時はまだ早いと考えていた流域を対象とした実地研究がここならできると確信し、開発計画が進行中のこの森の保全活動を始めました。

*流域:空から降ってくる雨水とが、大地を削ってつくる流域という地形は、地球の陸地を区切るもっとも「自然」な地形の単位、生態系の単位(「奇跡の自然」の守りかた 著:岸 由二・柳瀬 博一 序章より抜粋)

小網代の森の全体図(NPO法人 小網代野外活動調整会議 FACEBOOKより)

その日から30年。開発には「反対せず」、デモ活動も「行わず」に、流域丸ごとの自然の貴重さを訴え、森の所有者と企業、県や市と協議を重ねていきます。

その過程で、国がこの森に保全の網をかけ、県が土地を買収し、誰もがこの森を楽しめるように1本の木道を通すだけの整備を行って、2014年に小網代の森は一般公開され今に至るそうです。

 

1,000匹のホタルたちによる、自然のイルミネーション

今日私たちが行った作業もこの森の歴史の中の一つで、何十年も整備活動を行ってこられたみなさんの努力があってこそなのだと改めて知り、背筋がピンと伸びた森活部員一行。

なんだか感謝と誇らしさが入り混じった気分になったところで、今日のイベントはクライマックスへ。最盛期には約1,000匹にもなるという蛍たちのイルミネーションを鑑賞しながら、森の入り口へと戻っていきます。

ポツポツと蛍が光り始めた頃は、誰かが光る蛍を見つける度に歓声が上がっていましたが、宵が深まり無数の蛍が森中で光るようになるといつの間にか歓声は止み、それぞれがあまりにも美しく幻想的な光景に浸っていました。

 

ゆっくりと行きの倍くらいの時間をかけて、今日集合した森の入り口に到着。辺りはかなり暗くなっていたので、お世話になった調整会議のみなさんに簡単にお礼を伝えて順次解散。

みなさん、今日体験したこと、感じたことをたくさんお喋りしながら帰路につかれたことと思います。お疲れさまでした、そして森活部の活動にご参加いただき本当にありがとうございました。また次のイベントでお会いしましょう!

 

やってみよう
フェリシモの『ONE COIN ACT/ ワンコインアクト』に参加しよう!
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