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仲よくじゃれあう応挙犬ポーチ|#江戸わんこシリーズ④

円山応挙まるやまおうきょ朝顔狗子図杉戸あさがおくしずすぎと』の子犬を立体再現して、暮らしにアートな癒やしを届けてくれるぬいぐるみポーチに。江戸わんこシリーズ第4弾。

みなさま、こんにちは。フェリシモミュージアム部のアートナビゲーター、なりちゃんです。今日は、仙厓犬芳中犬芦雪犬に続く江戸わんこシリーズ、江戸わんこが仲よくじゃれあう 応挙犬ポーチの会についてご紹介します。

応挙のすごさ、そして応挙犬のかわいさとは

円山応挙まるやまおうきょ(1733-95)
江戸時代の絵師。京都・亀岡の農家に生まれながら、群雄割拠の京都画壇で圧倒的な人気を誇った。その系譜は「四条円山派」として現代まで続く。

まずは作者について少し。応挙のすごいところは、「写生画」の概念で日本画観を変えたこと! 室町時代以降400年間ほどの日本画は、先人たちの技が詰まったマニュアルをなぞるように真似することで、代々変わらぬテイスト&クオリティの絵を描き続ける「粉本主義ふんぽんしゅぎ」が主流でした。梅ならこう、鷹ならばこう…とお手本を見ながら描く方法です。

これに対して、応挙は実物に向き合って写生をもとに絵を描きました。さらには観察眼を磨いて写生の技を応用し、時には龍や幽霊までも実物を見てきたかのように”リアル”に描き出し、当時の人々を驚かせました。西洋の透視画法や日本の伝統的な装飾手法を合体させて、新しいスタイルを生み出したのです。

応挙のスケッチ帳より。雄雌のちがいや、色味の濃淡までつぶさに観察していたことが分かります。

円山応挙筆『写生帖』紙本着色、折本、江戸時代・18世紀(東京国立博物館所蔵)
「ColBase」より一部掲載 (https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-168

そうして大センセーションを起こした応挙の作品の中でも、当時から「かわいい!」と人気なのが、犬を描いた「狗子図くしず」。特にお寺の戸に描かれた『朝顔狗子図杉戸あさがおくしずすぎと』は、現代も広く愛される名作です。犬をめでるやさしいまなざしは、江戸の昔も今も変わらないのだと思うと心が和みます。

円山応挙筆『朝顔狗子図杉戸』板絵着色、江戸時代・天明4年(東京国立博物館所蔵) 「ColBase」より一部掲載 (https://jpsearch.go.jp/item/cobas-48401)

本質を描き出すその観察眼と筆力は、かわいい絵にも存分に発揮されています。応挙がしたように、まずは観察から。私なりに、この絵の3匹に注目して、かわいいポイントを言語化してみました。

円山応挙筆『朝顔狗子図杉戸』板絵着色、江戸時代・天明4年(東京国立博物館所蔵) 「ColBase」より一部掲載 (https://jpsearch.go.jp/item/cobas-48401)

●複数の子犬たちが集まってじゃれあっているのがたまらない!
●よくみると特徴的な人面顔!?白目が描かれることで、目線が生まれ、子犬同士のストーリーが生まれる ⇒生き生きとほほえましい姿
●からだをねじったり向こうを向いたりしているリアルな立体感
●一緒に描かれた朝顔の大きさでわかる、子犬たちのちいさなサイズ感

目は白目や瞳まで描かれているのに、たれ耳はさらりとした線でこなしています。パーツによって解像度を変え、足し算のリアリティと、引き算のデフォルメの絶妙なバランスで「応挙犬」を生みだしていることが分かります。

そんな「応挙犬」を見れば見るほどかわいさに心惹かれ、どうしてもグッズをつくりたくなってしまいました。それも、写生の名手とされた応挙の描いた犬だからこそ、絵から出てきたかのように仕上げたい…!

そんな思いで”かわいいポイント”を大切にしながら、3匹の「応挙犬」を立体再現。手もとでいつでもかわいがれるように、手乗りサイズのぬいぐるみポーチに仕立てました。

応挙犬たちを1匹ずつご紹介します

〈おすわり〉

横の2匹を見つめるまなざしがポイント。応挙が白目を描いたからこそ、この子が他の子を見つめる視線が生まれ、関係性や物語が生まれているのです。いきいきと描かれた子犬の秘密はこんなところにもひそんでいるのだ!と、作品を観察して気づいた発見でした。

〈ふりむき〉

なまえを呼びかけて「なあに」と振り返ってくれた瞬間のようなかわいさですが、このひねったポーズを再現するのがむずかしく、骨格をイメージしながらの造形が必要でした。
作中では、背中に体重をあずけてのしかかる仲間を受け入れ、やさしい目線を向けています。きっとおだやかな性格の子犬です。この子がお手もとに届いたら、あなただけのなまえをつけてあげてくださいね。

〈ふせ〉

作中では、からだの半分ほどしか描かれていない伏せポーズの子犬。作中で茶色い子に乗っかっているところをみると、末っ子のような甘えん坊の性格の子犬かもしれません。横顔しか描かれていないお顔は、そんなイメージを膨らませつつ、応挙の他作品を参照しながらつくりました。ぷりっと大きめなおしりがチャームポイントです。

いつでも一緒にいられる、ちいさなぬいぐるみポーチに

暮らしの中で身近にかわいがってもらえるよう、ミニポーチとして働くわんこになってもらいました。「イヤホンと印鑑」「リップと目薬」「あめちゃん2個」くらいが入ります。

今回取り上げた円山応挙と以前の企画に登場した長沢芦雪は、じつは師弟関係にあります。そんな応挙犬と、芦雪犬のサイズ感を比べるとこんな感じ。

応挙犬は手乗りサイズなので、気軽にバッグに入れて一緒にお出かけもできます♪

小さなバッグにもすっぽり。

小さいながらも、手足の肉球までしっかりプリント。

さらに、応挙も追及したであろう「生き物としてのリアルな存在感」を高めることを目指して、おしりと前足にビーズを入れています。手に乗せると、やわらかな手ざわりとくったり手になじむ重みに、実際に子犬を抱き上げたときのような感覚を感じられます。

手のひらサイズのミニわんこは、1匹でもキュート。2匹並べるのもかわいらしいので、三種類そろうのをお待ちいただくまでの時間もお楽しみいただけます。

あえて自由に配置して、わんこたちを遊ばせてあげる楽しみも。まるで、作品から飛び出した子犬たちが駆けまわっているようです。あなただけのわんこを積み積みしてください。

でもやっぱり、3匹を集めて名画を再現したくなるかも? 3匹のお届け順はフェリシモにおまかせなので、まずはどの子犬がやってくるのか、わくわくお楽しみに♪ みなさまの暮らしの中に、アートな癒やしをお届けできたらうれしく思います。

ミュージアム部
江戸わんこが仲よくじゃれあう 応挙犬ポーチの会

月1個 ¥2,200(+10% ¥2,420)
※1個だけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。

※パブリックドメイン作品をもとに商品化しています。

【ご注意】お届けについて

応挙犬ポーチを「数量:3」でご注文いただくと、一種類の同じ犬を3匹お届けする仕様になっております。1ヵ月に1回、一種類のお届けが基本です。定期便を楽しみながら、まったり気長に三種類をコレクションしていただけると幸いです。1回だけのお買い物ももちろん可能です。詳細はフェリシモのお買い物ガイドをご覧ください。

【おまけ】応挙犬たちが生まれるまでの道のり

ご紹介はここでおしまいですが、おまけの商品企画裏話を少しだけお届けします。

1.2次元を3次元で再現するためには、立体感をつかめなくてはいけません。まずは、粘土で成形して3Dイメージをつかみます。

2.粘土をこねながら犬たちの重心や骨格をイメージできたら、コンセプトやかなえたいポイントなどを企画書にまとめて、1回目のサンプル作成へ。

ところが、できあがったファーストサンプルは、なんともいえない不思議な仕上がりになってしまいました……。

3.原因は、型紙だけではなく素材にもありそうです。試作に使った毛足の長いふわふわ生地では、応挙犬の絶妙な表情を再現できません。狗子図の作例ではふわふわの毛並みが印象的ですが、この作品ではめずらしく板に描かれていることもあり、比較的ソリッドな輪郭線。お顔の表現を優先して、もっちり生地を使用することにしました。

没サンプルを集めると、まるで子犬の保育園のような光景に。

4.その後も、サンプル・本物の子犬・応挙の狗子図を見くらべながら「どこをどうすればかわいくなるかな?」と何度もサンプル試作、ミリ単位の修正をくりかえしました。

そして、ようやく完成!粘土をこねはじめてから最終仕様ができあがるまで、10ヵ月以上かかってしまいました。

こんなふうに生まれた応挙犬。ぜひお手もとにお迎えくださいね。
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