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太宰治が綴る物語に指先を染めあげて。万年筆の逸話から着想したジェル風ネイルシール

ペン先にインクをつける時、指先がうっかりインクで染まる......「つめが物語に染まる」ことがあったかも? 太宰治の「軸が壊れてしまってもペン先にインクをつけて執筆をしつづけた」という万年筆の逸話より着想し、グラデーション表現を取り入れたジェル風ネイルシールが完成しました !

こんにちは!
歴史と読書が好きな、フェリシモ「ミュージアム部」プランナー・ささのはです。

みなさま、近代日本を代表する作家・太宰だざいおさむはご存じでしょうか?
以前ミュージアム部でも、太宰治と詩人・中原中也の交友関係の逸話を元にしたポーチを紹介いたしました。

太宰治といえば、

メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐じゃちぼうぎゃくの王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

『走れメロス』より

の書き出しで有名な『走れメロス』を読んだことがある人も多いかもしれません。実は『走れメロス』は、太宰が熱海に滞在時に足りなくなったお金を工面くめんしようとした時の実際のエピソードを題材に書かれた作品と言われております!

太宰はお金を取ってくる=主人公のメロスの役割を、友人・だん一雄かずおがお金を持って帰ってくる太宰を旅館で待つ=セリヌンティウスの役割を担っていました。
現実では太宰メロスは走って友人を助けに帰るどころか、檀セリヌンティウスを人質に置いたまま、師匠である井伏いぶせ鱒二ますじ将棋しょうぎに興じていたのですが……。

いつまでたっても帰ってこない太宰をいぶかしんで探しに出た檀一雄、さぞ驚愕きょうがくしたことでしょう

こんな具合に、太宰治は思わずくすっとしてしまうような興味深い逸話をいくつも持っている人物なのですが、もちろん面白エピソードだけではなく、ちょっぴり真面目な雰囲気の逸話もある訳であります。
そのひとつに「1939年頃に太宰治が手に入れた、一本の万年筆の逸話」がありまして……。

話題の万年筆、もともとは太宰の奥さまがアメリカのお土産にいただいたものだったとか!

太宰は筆圧があまり強くなく、さらさらっと文字を書く癖があったようで、この一本の万年筆で亡くなるまでの約9年間の執筆作業をこなしたのだそう。軸の部分が壊れてインクを補充することができなくなってからは、ペン先にインクをちょんちょんっとつけて書き続けていたというのですから、驚きです。

しかし、そんな非正規な使い方をした万年筆。
当然ながら、うっかりインクが指先についてしまうこともあったのではないでしょうか?

……そこまで考えたプランナー、ひらめきました!

物語の執筆中、ペン先にインクをつける時に指先がうっかりインクで染まる......「つめが物語に染まる」ことがあったのかもしれない!

そんな空想から、太宰治が綴った物語にインスピレーションを受けた、グラデーション表現を取り入れたジェル風ネイルシールが完成しました。  

ミュージアム部
太宰治の万年筆の逸話より 
彼が綴った物語に爪を染めるジェル風ネイルシールの会

月1セット ¥1,650(+10% ¥1,815)
※1セットだけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。

着想元の作品は、"一本の万年筆"で執筆していたと伝わる1939年以降に発表したもののみでラインナップを構成しました◎
早速ですが、ネイルシールのデザインをご紹介します。


【パンドラのはこ

それはもう大昔からきまっているのだ。人間には絶望という事はあり得ない。人間は、しばしば希望にあざむかれるが、しかし、また「絶望」という観念にも同様にあざむかれる事がある。正直に言う事にしよう。人間は不幸のどん底につき落され、ころげ廻りながらも、いつかしら一縷いちるの希望の糸を手さぐりで捜し当てているものだ。

『パンドラの匣』より
『パンドラの匣』のあらすじ:肺炎をわずらった後、病状が悪化し喀血かっけつしたことを隠していた主人公・小柴利一こしばりいちは、終戦をきっかけに両親に自分の病気を告白し、結核療養所「健康道場」に入所する。そこで出会った人々に「ひばり」というあだ名をつけられた彼の、笑いあり恋ありの希望を感じさせる青春小説。

〈パンドラの匣〉は、物語に登場する「てん潮路しおじ」と「主人公・ひばりが身に着けた久留米くるめがすりの着物」、そして「焼跡の隅のわずかな青草」の色合いをベースにした、未来への希望を感じさせるデザインに。

書いて下さい。本当に、どうか、僕たちのためにも書いて下さい。先生の詩のように軽くて清潔な詩を、いま、僕たちが一ばん読みたいんです。僕にはよくわかりませんけど、たとえば、モオツァルトの音楽みたいに、軽快で、そうして気高く澄んでいる芸術を僕たちは、いま、求めているんです。へんに大袈裟おおげさな身振りのものや、深刻めかしたものは、もう古くて、わかり切っているのです。焼跡のすみのわずかな青草でも美しく歌ってくれる詩人がいないものでしょうか。現実から逃げようとしているのではありません。苦しさは、もうわかり切っているのです。

『パンドラの匣』より

デザインモチーフとして、作中の表現より着想を得た「ひばり」「竹」「菊」「桜」「天の潮路(流水柄)」「久留米絣」「希望の光」などを散りばめています。


【待つ】

誰か、ひとり、笑って私に声を掛ける。おお、こわい。ああ、困る。胸が、どきどきする。考えただけでも、背中に冷水をかけられたように、ぞっとして、いきがつまる。けれども私は、やっぱり誰かを待っているのです。いったい私は、毎日ここに坐って、誰を待っているのでしょう。どんな人を? いいえ、私の待っているものは、人間でないかも知れない。

『待つ』より
『待つ』のあらすじ:大戦争の時代を生きる主人公は、毎日、買い物帰りに省線しょうせんの小さな駅へ誰かを迎えに行く。冷たい駅のベンチに腰掛けて改札口を見つめる彼女は、しかし誰を待っているのか自分でも理解できていない。それでも主人公は、いつか出会う「ぱっと明るい、素晴らしいもの」を待ち続けている。

〈待つ〉は物語に描かれる「白昼の夢を見ているような、なんだか頼りない気持ち」をイメージしたペールカラーをベースに、幻想的でおぼろげな印象のデザインにまとめたネイルシールです。

私を忘れないで下さいませ。毎日、毎日、駅へお迎えに行っては、むなしく家へ帰って来る二十はたちの娘を笑わずに、どうか覚えて置いて下さいませ。その小さい駅の名は、わざとお教え申しません。お教えせずとも、あなたは、いつか私を見掛ける。

『待つ』より

デザインモチーフとして、作中の表現より着想を得た「籠目かごめ模様」「線路」「切符」「駅のつめたいベンチ」「小さく遠く見える往来の人々」「裁縫道具」「ちらちら燃える不埒ふらちな計画」などを散りばめています。


斜陽しゃよう

もう一度お逢いして、その時、いやならハッキリ言って下さい。私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。私ひとりの力では、とても消す事が出来ないのです。

『斜陽』より
『斜陽』のあらすじ:華族かぞくである主人公・かず子の一家は、戦後の激動の時代の波に抗えず没落していく。家を売り、伊豆の山荘へと移った先で見せかけの平穏な日々を送る中、かず子は「日本で最後の貴婦人」である自身のうつくしい母を亡くす。そして弟の直治なおじとふたりきり残された彼女は、ついに恋と革命を決行する。

〈斜陽〉は物語に登場する「炎」の赤色をベースにした、主人公・かず子の激しくもうつくしい革命の心を感じさせるデザインのネイルシールに。
アクセントカラーとして、「かず子の弟・直治が迎えた夜明け」の静かな色合いもベースの一部に取り入れています。

夜が明けて来ました。永いこと苦労をおかけしました。 
さようなら。
ゆうべのお酒の酔いは、すっかり醒めています。僕は、素面しらふで死ぬんです。
もういちど、さようなら。
姉さん。
僕は、貴族です。

『斜陽』より

デザインモチーフとして、作中の表現より着想を得た「梅の花」「一輪の紫色のばら」「砂金」「蛇の卵」「金の小さい冠」「炎の橋」「直治が迎えた夜明けの色合い」「麻の葉模様」などを散りばめています。


ネイルシールの使い方はとっても簡単で、つめの先端に合わせてシールをのせ、しっかり貼り付けるだけ。仕上げとしてお手持ちのトップコートを塗ると持ちがよくなります。

ジェルネイルみたいにぷっくりしたシールで、貼るだけでネイリストさんに施術をお願いしたような仕上がりに!

お手持ちのポリッシュと組み合わせての使用もおすすめです。

透け感のある金、薄紫、黄緑のポリッシュとあわせてみました◎

小さなネイルシールは、大きい爪にアクセントとして貼っても。爪の長さ・大きさ問わずデザインをお楽しみいただけます。

同じサイズ・デザインのシールを人さし指と小指に貼ってみました!

ネイルシールは、2枚セットでお届け。

ネイルシールには、本のページをめくるたびにちらりと光る、各物語にぴったりな色あいの箔風デザインをほどこしています。

〈パンドラの匣〉は光に満ちた未来を感じさせるオーロラ色の箔、〈待つ〉には静けさを感じる銀色の箔、〈斜陽〉には激しさを感じさせる金色の箔を使用しています

太宰治と一本の万年筆に思いをせて。
つめの先から文学に染まっていく、格別の時間をお楽しみください。

ミュージアム部
太宰治の万年筆の逸話より 
彼が綴った物語に爪を染めるジェル風ネイルシールの会

月1セット ¥1,650(+10% ¥1,815)
※1セットだけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。


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記事内の作中文章引用元:
①太宰治(1945~1946)「パンドラの匣」青空文庫より
②太宰治(1942)「待つ」青空文庫より
③太宰治(1947)「斜陽」青空文庫より
④太宰治(1940)「走れメロス」青空文庫より

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