女性宮司さんと日本画家さんが、運命のコラボ!

こんにちは、日本職人プロジェクトのリーダー山猫です。

誰かの物語(story)に寄り添い、ここにしかないプロダクトを生み出す日本職人プロジェクト。何気ない会話からこぼれた物語をすくい取り、そこに秘められた想いや願いをカタチにしています。

今回は「冬夜(とうや)~Midnight thinking~」をシーズンテーマに、この冬に向けたスペシャルなアイテムをご用意しました。一年の終わり、自分へのご褒美に、次の季節に向けた準備に、じっくりと自分の「好き」と向き合う時間を楽しんでください。

今日は、日本画家の顔も持つアートディレクター・牛島孝さん、全国でも珍しい女性宮司・太田垣亘世さんと一緒に作った時計をピックアップ。日本文化とゆかりの深いおふたりならではの物語を、お話しします。

宮司の装束の文様を、日本画家が文字盤にデザイン

「宮司の装束の文様を、時計の柄にするのはどうでしょう?」。とある打ち合わせの席、尼崎えびす神社の宮司・太田垣亘世さんのひとことが物語のはじまりでした。太田垣さんは、外資系航空会社でキャビンアテンダントを務め、海外に居住していた経験もある異色の経歴の持ち主。実家の尼崎えびす神社を継いでからも、ニューヨークの神社に赴任するなど、グローバルに活躍されています。

美しい宮司の装束に身を包んだ太田垣さん。女性宮司は全国でも珍しいとのこと

そんな太田垣さんから出たアイデアが、神職である宮司の装束に描かれている文様を時計の文字盤にデザインすること。装束に使われている文様はどれも意匠として美しく、これはきっと素晴らしいものになる!と確信し、すぐさま金沢の時計工房に連絡を取りました。

金沢の時計工房さんとは、ここ2年ほどのお付き合い。この工房のアートディレクター・牛島孝さんは日本画家としても活躍されていて、豊富な知識と高い技術、そしてきめ細やかな心遣いが素敵な方です。オーダーした以上にこちらの想いをくみとり、カタチにしてくれるので、信頼してお任せすることができます。伝統工芸が息づく金沢にあり、しかもアートディレクターが日本画家さんですから、和の文様をデザインするのにぴったりだと思いました。

完成度の高い時計を次々と手がける、時計工房のアートディレクター・牛島さん

さっそく牛島さんに、太田垣さんのアイデアをお話したところ、「いいですね」と好感触。太田垣さんからお預かりした着物柄をお渡しして、文字盤にデザインしたときに映える文様を選んでいただくことにしました。
今回はスペシャルバージョンとして、こちらの時計工房さんのオリジナルブランド<はなもっこ>シリーズとコラボレーションしたモデルで制作することに! 太田垣さんの装束の文様と、時計工房さんセレクトの文様と、2種類を展開することになりました。

輝きを表に出さず、忍ばせるのが日本の美学

山猫が以前、仕事で撮影した太田垣さんの装束の写真から、12点ほど時計に合いそうな文様をセレクト。その中から牛島さんが選んだのは「臥蝶丸(ふせちょうまる)」という柄でした。円の四方に唐花を配した図柄で、羽を広げた蝶が臥せているように見えることから、こう呼ばれているそうです。

いくつもの柄の中から、「これが、文字盤に最も映えると思います」と牛島さん

そしてもうひとつ、日本画家でもある牛島さんご自身が提案してくれた「麻輪違(あさわちがい)」という文様。円満・調和を意味する「七宝紋」、健康・成長の「麻の葉紋」、繁栄・長寿の亀甲紋」が組み合わさったスペシャルな文様で、3点とも厄除けとして古来使われてきたそうです。牛島さん一押しのこの文様も、文字盤にデザインすることになりました。

文字盤は、銀箔と極薄の和紙で作られた下地に、手作業で切り抜いた文様を膠(にかわ)で貼り重ねて作ります。和紙の繊維から銀箔がキラリと控えめに輝き、胡粉(ごふん)を塗った純白の和紙を切り抜いた文様が浮かび上がる、繊細で美しい仕上がり。角度や光の当たり方によって、文様の見え方も変わります。使われているのが和紙や膠、胡粉など日本の伝統な画材なのも、さすが牛島さん。素材を大切にした手仕事で、文様の世界観を大切に表現してくださいました。

銀箔の上に和紙を張り、控えめなきらめきを演出。文様もひとつずつ、手作業で切り抜きます

切り抜いた文様を下地に貼る作業。重ねることで、文様が浮き上がってくるように見えます

時間を示す12個のインデックスは、金箔を丸く打ち抜き、ひとつひとつ貼り付けたもの。フレームは白い文字盤が引き立つゴールドを合わせています。

針やフレームを取り付けて、いよいよ文字盤が完成。細やかな作業を、ひとつずつ、丁寧に

時計内部は空気の出入りがなく完全に密閉されているので、銀や和紙の変色は起こりません。繊細で美しい表情を末永くお楽しみいただけます。
腕時計を25年以上製作してきたメーカーとして、機能性や耐久性も十分考慮した設計になっています。

文様の切り抜きから組み立て、ベルトの製作まで、すべてが手作業。手間も時間もかかりますが、繊細な仕事を積み重ねて、美しい文字盤が完成します。

一見シンプルなようで、とても手の込んだこの時計。華やかさを忍ばせたこの奥ゆかしい仕上がりは、日本の美学が詰まっているようにも思います。

文字盤を引き立てるベルトも、こだわりのセレクト

それぞれの文字盤に合わせるベルトは、いつも牛島さんがディレクションしてくださるのですが、今回は太田垣さんとプロジェクトメンバーを中心にセレクトしました。それぞれの文様に合わせて、フェリシモのスタッフやたくさんのプランナーの意見も参考にしながら、2色を決定。牛島さんがサンプルと一緒に革ベルトの色見本帳を貸してくださったので、みんなの意見を取り入れながらも、スムーズに決定することができました。

ベルトの色や素材もこだわりのセレクト。時計工房では肌への当たりや風合いなども、細やかに配慮されています

太田垣さんの「臥蝶丸」には、浅葱色を合わせました。これは、太田垣さんの袴をイメージした色。和の趣を感じさせる、薄い青緑色です。とても上品な色味で、白い文字盤との相性も抜群。

手もとに映える、明るく上品な浅黄色。どこかモダンな雰囲気もただよいます

牛島さんの「麻輪違」に合わせたのは、漆黒色。しんしんと雪が降る、金沢の冬の夜を思わせる深みのある黒色です。下地のひそやかなきらめきを引き立てる、ドラマチックな仕上がりになりました。

手元をキリリと引き締める、深い黒。合わせるものを選ばないところも魅力です

伝統文様の時計は、いつも身に着けたいお守りに

宮司と日本画家、日本の文化や伝統と関わりの深いおふたりが選んだ文様は、目にするたび、背筋がすっと伸びるような美しさ。古くから受け継がれる文様は、心を癒すお守りのようにも感じられます。

最後に、この時計を皆さんに紹介するにあたり、牛島さんからリクエストをいただいています。
「この『紋切りシリーズ』の時計は、見る角度によって銀箔が光り輝き、印象がうつろいます。その儚いほどのさりげなが魅力なので、カタログ誌面でどこまで伝えられるかがポイントです。写真だけでその“うつろい”を表現するのはなかなか難しいので、動画があるとベストだと思います」

そのリクエストを受けて撮影したのがこちら!↓

山猫が撮影したのでそこそこな動画ですが、本物はこの何倍も素敵です!!

これから一緒に時を刻んでいくのが楽しみになる、ふたつの時計。手にした日からきっと、特別な存在になってくれます。

次回は、一年365日、毎日をご機嫌にするポストマンシューズをご紹介します。お楽しみに!

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金沢時計職人が手掛けた 紋切り臥蝶丸柄に見惚れる腕時計〈浅葱色〉

¥29,700(税込み)

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金沢の時計職人が手掛けた 紋切り麻輪違柄に見惚れる腕時計〈漆黒色〉

¥29,700(税込み)

※日本職人プロジェクト「Stories〈ストーリーズ〉」の商品は、ご注文いただいてからひとつずつ仕立ててお届けします。
※インターネットでのお申し込み締め切り:2021年12月15日(水)23:59まで
※商品お届け時期:2021年11月下旬~12月下旬までに随時

日本のモノづくりを通してたくさんの素敵な物語を伝えるために続けてきた「日本職人プロジェクト」。2004年のスタート以来、様々な魅力的な方の想いと共に「物」語るアイテムを誕生させてきました。

プロジェクトリーダー 山猫

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