地球村インタビュー_中村哲医師の絵本化支援と世界平和

投稿日:2020.02.28   |    コメント数: 0
初めまして。スタッフのGNDです。 フェリシモは、93 年に始まった「地球村基金」をはじめ、 「ともにしあわせになるしあわせ」を地球規模で実現するための プロジェクトをたくさん行ってきました。 そのなかの取り組みのひとつ「中村医師の絵本化支援」について haco!事業部長 KSIのインタビューをご紹介します。

「なぜフェリシモが絵本化を支援するの?」という核心からご紹介します。
※絵本は2020年内の出版を目指して準備中とのことです。

GND(以下G): アフガニスタンで難民への医療支援や砂漠緑化に尽力されていた中村哲医師が、2019年12月、銃撃により亡くなりました。中村医師の訃報は日本でも大きく報道されています。 どういった経緯で絵本化への資金拠出が決まったのですか?

KSI(以下K): 絵本出版を決めた現地NGO「ガフラワ」とはもともと交流があったんです。「LOVE AND PEACEプロジェクト2018」で集まった基金の一部を拠出し、2種類2600冊の絵本をアフガニスタンの学校や図書館に寄付するお手伝いをしていました。




詳細はこちら
https://continew.haco.jp/entries/32273

G:なるほど。もともと交流があったんですね。中村医師とも生前は交流があったのですか?

K:直接の面識はありませんでした。 でも、中村さんの訃報を聞いたとき、偶然なんですが、あるプロジェクトで僕はタジキスタンにいました。タジキスタンはアフガニスタンと国境を接する国でして、タジキスタンではJICAアフガニスタン事務所のスタッフに同行してもらっていました。 訃報をきいたときの彼らのショックはとても大きくて、とても他人事には思えませんでした。

G:訃報から絵本化への資金拠出ニュースまで、かなりスピード感ありました。もう少し経緯をうかがえますか。

K:そうですね…僕やフェリシモだけじゃなくて、たくさんのご縁が重なって今回の発表になりました。19年前まで話を遡っても大丈夫?

G:19年も!?気になります。

K:きっかけは9.11とその直後のアフガン空爆でした。これが19年前(※2020年現在)。ツインタワーが崩壊し、アフガニスタンでたくさんのミサイルが飛んでいる映像をさんざん見ました。

倒壊した町自体もショックだったんですけど、それ以上に 「おいおい、戦争に関係ないこどもたちがめちゃくちゃ巻き込まれているぞ」と。 そのときに「こどもの未来を奪う権利は誰にもないはずだ」。そういう気持ちになったんです。

当時担当していたブランドに日本のお客さまからの励ましがあって、LOVE & PEACEプロジェクト(以下、「L&P」)をスタート。「LOVE AND PEACE FOR CHILDREN FOR ALL OVER THE WORLD」と胸に掲げたTシャツをお客さまといっしょに作って販売しました。



このときは「ニューヨークとアフガニスタンのこども」のことを強く意識していたかなぁ。

G:そこからアフガニスタンとの関係を深めてきた?

K:いやいや。L&Pはずっと続けてきましたが、アフガニスタンに特化していたわけじゃないです。というのも、2003年に起こったイラク戦争。このときも映像をみていて気づいてしまったんです、イラクのこどもたちの未来もやばいじゃないか、と。「世界中のこども」の未来のために、なにかできるんじゃないかという気持ちが強くなっていきました。

実際、L&Pでお客さまからお預かりした基金の拠出先は世界中の団体へと広がっていきました。商品展開もTシャツからアクセサリーに増えていって、基金を集める仕組みとしてどんどん大きくなりました。

あと、2011年の東日本大震災も転換点でした。大変な状況の東北を知ると、見て見ぬふりはできない。L&Pの支援先は国内外に広がりました。

G:その後アフガニスタンとの関係は?

K:転機は2008年スタートのPEACE BY PEACE COTTONプロジェクト(以下「PBP」)。インドをはじめ、世界中のコットン生産地で「作れば作るほど生産者も土地も疲弊していく」という構造と知り、現地と直接関わることでこの構造を少しでも変えていきたいと考えたんです。

L&Pとは違って、フェリシモが現地で協力団体を探し、関係性をつくる。そういう取り組みです。PBPではJICAインド事務所に大変お世話になりました。そのなかで出会ったのが、JICAアフガニスタン事務所の上原さんでした。

G:ここでアフガニスタンが登場!

K:そうそう。JICA山田さん(当時インド事務所次長)のSNS投稿を介して、インドのデリーに会えることが発覚したんです。僕の滞在予定ホテルが消滅(!)というトラブルを乗り越え初対面。それまで上原さんと僕はまったく面識なかったんですが。
「いまだに自爆テロが続いている」「町中に自爆テロの爆風を避けるための灰色の壁が出来ている」といったアフガニスタンの状況を上原さんから聞いて、僕は結構なショックを受けました。そんなこと、日本では全然報道されていないじゃないかと。
L&Pが進化するうちに相対的にアフガニスタンとの関係が薄まっていることと、「アフガニスタンのこどもたちの未来」が全然しあわせになっていないと気づかされました。 そこで、改めてアフガニスタンをL&Pの支援先にしようと。単にお金を拠出するだけでなく、商品開発と現地生産も挑戦すると決めました。

PBPを通じて「現地生産を通じた自立支援」の重要性も痛感していたので。ラピスラズリって知ってます?アフガニスタンの特産品なんですけど、スペルがLAPIS Lazuli。ちょうどL&Pと同じだ!なんて。一気に商品化しました。




G:そろそろ、中村医師の絵本を出版するNGOも登場?

K:まぁまぁ。もうちょっと続きがあるよ。

G:今回絵本を出版するNGOとはどこで出会ったのですか?

K:NGO「ガフワラ」をたちあげたのはPEACE卒業生のひとり。PEACEはThe Project for the Promotion and Enhancement of the Afghan Capacity for Effective Developmentの略で、アフガニスタンの優秀な若者たちのための日本留学プロジェクトです。
9.11事件当時に10歳前後だったこどもたちがちょうど日本にきていました。LOVE & PEACEプロジェクト(以下、「L&P」)の原点「アフガニスタンのこどもの未来」とここで出会う運命だったのかも。2019年には、JICA上原さんが取り次いでくれて、ガフワラへ支援金を提供しました。

G:ここでガフラワが登場!少し話題は変わりますが、2019年になぜタジキスタンへ?

K:L&Pの原点がアフガニスタンだと再認識して、「9.11当日にアフガニスタンに居たい」と考えるようになっていきました。ただ、アフガニスタン渡航は非常にハードルが高くて厳しいかな、と思っていたときに、とあるプロジェクトの出会いがありました。

アフガニスタンとタジキスタンの国境地域はテロ組織の温床になる危険があって。この地域の生活を改善することでテロ組織から守れないかと日本政府は検討していたそうです。

それならフェリシモの商品開発力を活かせるかもということで、タジキスタンでセミナーを開催することになりました。 2019年9月。アフガニスタンまですぐの距離にあるタジキスタンに到着。「18年かけて、ようやくここまで来た」。なんとも言えない気持ちでした。

9月に現地で見聞きしていろいろ見えてきて、12月、アートディレクター、ファッションデザイナー、刺繍作家の仲間を連れて再びタジキスタンへ。


G:そのときに中村医師の訃報があったんですね。

K:そう。訃報を知ったときその場にいたみんなが彼を知っていたと思います。みんなの悲しみと強い憤りが痛いくらい伝わってきました。

G:JICA上原さんとの出会いやPEACEとのつながりがあって、中村医師の絵本化支援へとつながるわけですね。

K:ガフラワからJICA事務所へ「中村医師の話を絵本にして、アフガニスタンのこどもたちに広く伝えたい」と提案が入って、上原さんから僕のところへすぐに相談がありました。

ガフワラの絵本事業を支援していたから、すごいスピード感でした。僕たちとしても、訃報があったまさにその日にアフガニスタンからすぐそばのところにいたわけですから、とても他人ごとではありません。2019年度の基金を絵本制作支援のためにできる限り拠出したいと考えています。


G:絵本出版への支援以外にも、なにか考えていることはあるのですか。

K:中村医師の活動を、アフガニスタンだけでなく日本でも、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っています。公表できる時期がきたら紹介させてください。

G:単に絵本出版をLOVE & PEACEプロジェクト(以下、「L&P」)で支援する、ということではないんですね。

K:はい。世界にはたくさんの紛争や災害があって、地球上のすべてのこどもの未来が明るいとは言えない状況です。少なくとも、アフガニスタンやタジキスタンでは「こどもの未来が明るい」と言えません。

このまま見て見ぬふりはできません。基金集め活動からスタートしたL&Pには資金以外にも提供できる価値・役割があることがわかってきました。18年前には想像していた未来よりも、もう少しハッピーな未来に近づけるかもしれません。

いまはまだ公表できませんが、「こどもの未来を奪う権利は誰にもない」という想いをかなえるプロジェクトを準備しています。日本のいちファッションブランド、いち通販企業にだって、世界を平和にできるはず。わたしたちのこれからの活動にご期待ください、いや、いっしょに世界を少し平和にしていきましょう。

L&P商品はこちら>>https://www.haco.jp/landp/index.html

********後記********

「愛と平和。」 KSIのデスクにいつも張り出されています。中西医師の絵本出版支援に至る経緯や想いを聞くうちに、この過程が決して偶然ではないことを感じました。 これからのL&Pの展開が楽しみでなりません! インタビュー記事を読んでくださって、ありがとうございました。 これからも地球村関係の情報を発信していきます!

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